インプラント治療では、適切な位置に骨が少ない場合、骨を増やすための処置が必要です。この骨造成は、特別なトレーニングを受けた歯科医師でなければ行うことが難しいです。そのため、インプラント治療を受ける際は、経験豊富で専門知識を持つ歯科医師に相談し、安全かつ効果的な治療を受けることが重要です。
GBR(骨再生誘導法)
目的
GBRは以下の場合に適応されます:
- 骨が不足している部位にインプラントを埋入する必要がある場合
- 歯周病や外傷により骨が大きく失われた場合
- インプラント周囲の骨欠損を修復する場合
手術方法
- 切開・剥離: 歯肉を切開し、骨が不足している部位を露出させます。
- 骨補填材の配置: 人工骨や自家骨を不足している部位に配置します。(同時にインプラントを入れる場合もあります)
- メンブレンの設置: 骨補填材を維持し、歯肉の侵入を防ぐために、特殊な膜(吸収性または非吸収性)を配置します。
- 縫合: メンブレンと骨補填材を適切に固定し、歯肉を元の位置に縫合します。
メリット
- 骨量の増加により、ちょうと良い長さ・太さのインプラントが使用できます。
- 見た目がきれいな形に治ります。
- 歯の間に大きい隙間ができないので食べたものが詰まりにくくなります
デメリット
- 手術が複雑であり、特別な技術と経験が必要です。
- 治癒期間が長く、追加の手術が必要になることがあります。
- 手術部位に感染のリスクが伴います。
- 費用が高くなる場合があります。
GBRは、適切なトレーニングと経験を持つ歯科医師によって実施されるべき重要な手術です。患者さんは、十分な説明を受けた上で、信頼できる歯科医師と相談しながら治療を進めることが重要です。
上顎洞底挙上術(側壁開窓)
目的
上顎洞底挙上術の目的は、上顎洞内の骨量を増加させ、インプラントが安定して埋入できるようにすることです。これにより、適切な長さのインプラントを埋入することが可能になります。とくに上顎の大臼歯部では上顎洞底挙上術が必要になる場合が40〜60%にも及びます(当院の統計)。
適応症
- インプラントの埋入位置に上顎洞が近すぎる場合
手術方法
- 切開とフラップ形成: 歯肉を切開し、上顎の骨を露出させます。
- 骨窓の作成: 上顎洞壁に小さな窓を作成し、上顎洞粘膜を慎重に剥離します。
- 上顎洞粘膜の挙上: 粘膜を持ち上げ、上顎洞の空間を広げます。
- 骨補填材の充塡: 持ち上げた粘膜の下に人工骨や自家骨を充塡します。
- 縫合: 骨窓と歯肉を元の位置に縫合し、手術部位を閉じます。(同時にインプラントを入れる場合もあります)
メリット
- 上顎の骨量が増加し、適切な長さのインプラントを埋入でき、安定性が向上します。
- 非対応の医院でインプラント埋入が困難と言われている場合もインプラントが可能となる
- 上顎の骨質が改善され、インプラントの生存率が向上します。
デメリット
- 手術が複雑であり、特別な技術と経験が必要です。
- 治癒期間が長く、追加の手術が必要になることがあります。
- 手術部位に感染や上顎洞炎のリスクがあります。
- 一時的な腫れや痛みが生じることがあります。
- 費用が高くなる場合があります。
上顎洞底挙上術は、インプラント治療の成功を支えるために重要な手術です。適切なトレーニングと経験を持つ歯科医師によって実施されるべきであり、患者さんは十分な説明を受けた上で、信頼できる歯科医師と相談しながら治療を進めることが重要です。